鈍痛




仕事柄、子どもの相手をしている時に金玉に一撃を喰らうことがある。奴らは漫画やアニメで金玉が男の弱点とだけ知っている。どんだけ痛いかだとか、どんだけ弱点なのかだとかは全く分かっていない。

ふとした時に喰らう金的は、やられると分かって喰らうそれとは衝撃が全く異なる。喰らった瞬間は、思考が停止する。頭が一瞬真っ白になり、反射的に腰が引け、本能なのか金玉が無事か確かめようとする。

不思議と金玉のどこにヒットしたかが分かるもんで、楕円形の睾丸の上側を直撃したのか、副睾丸と精管の根本辺りに拳が入ったのか、打たれた感触で手に取るように分かる。当たった瞬間、仕事中であるにも関わらず「むグッ…っテェ!」とつい声は出るし、顔は誰に見られているかもわからないのに険しいしかめっ面になる。

やられた瞬間は「金玉やられた」「潰れちゃいないか」とも瞬時に考える。まあ実際子どもの力でそんなダメージは大きくはないのだが、それでも痛いのが金玉な訳で。股間をさする間も無く体裁を整えて、金玉に効いてない振りをする。

とかなんとか言っても、やっぱり金玉は2個とも男の大事なモノ。後で小便をする時に念のためごろんと男のクルミをしっかり出して確かめ、お宝の無事を確認するのである。