ラガーマン日誌19 寮


rugby
うちのラグビー専用寮は、フリチン長屋として
全国?にも、有名でした。
(笑)
後輩が、馬鹿な事件も起こしました(^-^;

部訓の中に、

鉄の上下

の規則があります。

先輩からの質問・命令・指導には、

ハイ!

しか、許されません。
例えば、ラグビー姿勢を1時間とれ!と言われましたら、そのまま、ロウ人形のように固まってます。
背後から、いたずら半分で、金的かち上げられても、壁に頭つけて我慢、倒れられません。
焼かんと1時間以上、先輩が飽きるまで、プロレスを続けたり
命令とあらば、新宿で一人で、暴力団まがいのチンピラに、喧嘩ふっかけて、ダッシュで逃げたり
四年生の命令で、先輩に当たる二年生のかたの、キンタマ、ぶん殴ったり、
もしました。

楕円の球を、出なくなった唾で、必死に磨き続けたり
紫紺の洗濯は、白い部分は、汚れ一つあっては、いけないんで、何十回も手荒いでした。

金タマやられすぎて、ぶっ倒れたら、部屋から放りだされ、
階段で寝たり‥とか

ピコピコハンマーで、泡吹くまで、金タマ、殴りを1時間以上、続けられた時もありました。

用具が、キチッと整頓されてなければ、
たとえ、真夜中でも
シボリ
でした。
シボリは学年全員集められます。

永遠に朝まで続く、腕立て伏せ・ランパス・
倒れた同期を、交代で背負って走り続けます。
真冬でさえ、汗だくになります。
そんな睾丸、伸びきった所へ、まともに、膝金や電気アンマ喰らって、
何人もが、地獄に堕ちながら、のたうちまわったりは、日常茶飯事です。

同期の有望選手が、辞めると言いました。
仲間みんなで、とめましたが
楽しいラグビーがしたい!
って同好会(体同連)に行った奴もいました。
ラグビー推薦で入った奴で、ラグビー部を辞めても、大学は続けられます。
でも、それが辛くて田舎に帰った奴らも、たくさんいました。

それでも、残った奴らは、これからの紫紺の伝統を
引き継いて行くんだ

ではありません!

毎年、毎年、
新たな伝統を築き上げていくんだ!

と教えられました。

夏合宿や、見たく思い出したくもない菅平‥
これは後で触れるか、飛ばすかしますが。

そんなんが過ぎましての、秋。
さて、毎日の自分の大事な日課
阿呆な四年生が夜店で掬ってきた金魚の餌やりと、水変えに
せいを出していました
秋の公式戦前、
驚きの体験をしました。

夕食をすまして、少し休憩していましたら、
今日のミーティングはメンバーだけで、和室の広間でやると通達がありました。

関係ねえや、部屋付き先輩は、一本目メンバーなんで、居なくなるから
ちょっと、楽できますし
ルンルン気分になってました。

そしたら、主務の先輩が、
お前も部屋に来い!

えっ、まさか‥‥膝がガクガクして、緊張感で一杯になりました。
自分には、初めてのことでしたから‥

時間になり、部屋に入っていくと、
真っ暗の部屋に、北〇のオヤジが、目を瞑り正座しています。両サイドには、コーチが同じく、瞑目してみえました。

前の机には、二本のローソクが灯り、
ユニフォームが
きちんと並べられ、
盛り塩が、してありました。

何事が始まるのかと、最初、心臓バクバクしていた自分でした。

先輩らの雑談が、寺〇コーチらの片手上げで、
嘘のように静まりますと、

先生が目を開き、
自分にとっても、
(後から聞きましたが、)
先生にとっても
一世一代のミーティングが始まりました。

詳しくは書きませんが、こんこんと先生の話が続き、気持ちが昂りました。

「克己心」
己に勝て、
試合中、必ず挫けそうになる、
でも、そんな心の中の弱い自分自身に負けるな、
前へ!突き進め‥と。

「前へ」
このフレーズは、後に有名になりますが、この時、初めて聞きました。

「今やらずしていつやる、お前らが、やらずして、だれがやる」
これも後に有名になりました。

聞いているだけで、嗚咽が漏れてきちゃいました。

絶対勝つ、試合に出たら死んでも良い
と思いました。

それから、
「時代の創造者になれ!」

先生は塩を掴んで、ユニフォームにぶちまけ、
背番号順に名前を呼び、
一人づつ言葉を掛ながら渡していきました。

電気を点けたら、自分だけじゃないんです。
先輩たちも、みんな、泣き続け、しばらく立ち上がれなかったんです。

その後は、いつものようにスパイクを磨き、部屋付き先輩に、肩を抱かれたまま、意外とすんなりと就寝できました。

試合に出発する前に、
監督の部屋に集合して、
水盃を交わしました。
ハイ、映画に出てきます、やくざと同じです(笑)

一人づつ、リザーブも含め紫紺をもらった22人全員が、
口を付け、オヤジが、最後に、いきなり手にした盃を壁に叩きつけ割ってしまいました。

「これで、盃は返せない。お前達の命は、俺が預かった。
思いっきりやってこい。
でも試合中、苦しい事も痛い事もあるだろう、その時は先生の事を思い出せ、辛い練習を思い出せ。
心は、いつもお前たちの、そばにいる。
それに俺の腕でも足でも、いつでもお前達にくれてやる!」
でした。

出陣式に呼ばれたんす。

(書いていても、つい、涙が、出そうになります)

翌朝、寮で目覚め‥と行っても、余り寝れませんでしたが。

早くも、緊張感と、何か言いようのない興奮を
抑えきれずにいました。

すでに、以前から一本目だった、部屋付きの先輩が、
それはそれは、潰れる程のパワーで、俺の睾丸を掴んできながら、ハグをしてきまして耳元に‥


緊張し過ぎて、金タマ、縮み上がってるやないか。
怖がるな!試合になったら礼儀も、へちまもない。俺たち全員が仲間だ。

坊、てめぇが倒れたら、俺がいる。
俺が倒れたら、お前がいる。単純なことなんだ。

更に、俺をキツく抱き寄せて、一言、言われました。


つぶれる時は
一緒だぜ!



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