上司の弱点-2.秘密-


living
仕事が終わり、自転車を飛ばして俺は謝罪する為に班長の家に来た。

上司は一軒家のこの家に1人で住んでいる。聞けば奥さんに逃げられたらしい。まあ、あの横暴な性格からして納得だが。
俺は暗い気持ちでインターホンを鳴らした。

"来たか、入れ"
インターホン越しに低く怖い声で言われると不安になる。

俺は恐る恐る玄関を開けた。てっきり鬼の形相の班長がそこにいると思った。
だが、予想に反して、班長は怒りの顔を見せていなかった。
その代わり玄関いっぱいに大きな身体があって、威圧感だけはある。

怒ってなさそうに見えて少し気は緩むが、まだ安心は出来ない。
俺は閉口一番、謝罪の言葉を口にした。
「本当にすみませんでした!!」
頭を下げるが、班長からの返事はない。

「さっさと入れ」
俺は無愛想な彼に奥の部屋に案内された。

そこはリビングで、ソファとテーブルとテレビ等のシンプルな家具があった。

白い照明に照らされて班長の顔がはっきり見えた。
35歳のよく日に焼けたガテン系の顔だ。短く刈り上げた髪と顎髭に蓄えたヒゲのせいか怖く見える。

そしてそれ以上に鍛え上げた厚みのある上半身がTシャツの上からでもよくわかり、人間と言うよりも野獣のように見えた。

班長はデカイ身体をソファに埋め、タバコをふかした。
「お前の事だ、怖気づいて来ないかと思っていた」
「はあ…」
「もう一度聞くが、何故俺の金玉を狙ったんだ?」
今は怒った様子は無いが、嘘をついたら、殴られると思い、本当の事を話す事にした。
「その、色々とストレスが溜まっていて」
「溜まったていたから俺の金玉を狙ったのか?」
「はい」
「他に理由は?何故金玉なんだ?」
俺は少し考えて正直に返事をした。
「小西班長の苦しむ姿が見たかったからです」
「だから金玉か」
「いえ、その…一番痛い場所ですから…」
「今も、俺の金玉を蹴りたいと思うか?」
「え?いや、そんな」
「本当の事を言え」
「蹴りたく…ないです」
空気がピリピリしている。額から汗が流れ落ちる。早くこの空間から抜け出したい。

「嘘をついていたらぶっ殺すぞ」
タバコの煙が俺の顔面に吹き付けられる。
俺はこれ以上嘘をつけなかった。
「……蹴りたいです」
「なぜだ」
「その、正直に言うと。班長が股間を押さえる姿を見てスッキリしました」

班長は少し考えた後、
「そうか…待ってろ」
と言って部屋を出て行った。

俺は班長が何をしようとしているのか、全く見当がつかなかった。てっきり今日、俺はボコボコに殴られるものとばかり思っていた。
嵐の前の静けさなのかとも考える。

俺が思案を巡らせていると、彼が戻ってきた。そしてその姿に俺は驚いた。思わず立ち上がる。

「え?え?どういうことですか?」

班長は昨日と同じ様な、オレンジ色のビキニパンツを履いていた。
しかもそれしか履いておらず、逞しい上半身や下半身は裸だった。
逆三角形のオレンジの布からは無処理の毛がはみ出ている。
そしてその中には大きな男性器が詰まっている膨らみがあった。

俺の頭の上にハテナがたくさん浮かぶ。

上司の姿はまるでプロレスラーのようで、今にも襲いかかってきそうだ。

「さっきお前は俺の金玉を蹴りたいと言ったな。蹴らせてやる」
「えっ!?えっ!?」

俺は訳がわからなかった。俺の中の班長は恐ろしくて傲慢で、ムカつく野郎だった。
その男が、ビキニパンツ一丁で現れ、さらに自分の金玉を蹴って欲しいと言っている。
俺は驚いたまま言葉が出なかった。

「おい、これは命令だ」
彼は仁王立ちになって、股を開いた。もう一度その場所を確認すると、押し込められた上司のチンポと金玉が、まるで水風船の様にぶら下がっていた。
男なら絶対に蹴られたくない場所だが、班長はそれを望んでいる。
意味がわからない。

視線を上にあげ、上司の顔を見る。その顔は怒りや笑いの顔ではなく、真剣な男の顔だった。
ただ、断れば容赦しない、そんな雰囲気だった。

「俺の事ムカついてるんだろ、なら俺の金玉を蹴れや。今度は子供なんぞ使わんとテメェでな!!」

俺は睨みつけられ、雰囲気に飲まれてしまった。
命令だこれは命令だ。

俺は自分にそう言い聞かせ。
班長の前に立った。

彼は俺の蹴りを待ちわびている。意味がわからないが、それは事実だった。
「蹴った後に、怒らないです…よね」
俺はビクビクしながらそう言った。
「ああ、さっさとやれ」

「俺が蹴ることで何かあるんですか」
「しつけぇぞ!!!!ぶち殺されたいか!!」

意を決して俺は半歩下がり、班長の金玉目掛けて足を振り上げた。
「うっ!!」

だが、この状態で力を入れることも出来ず、軽く彼の股間を撫でるように蹴っただけだった。
足に柔らかい感触があった。それは上司の金玉の感触だった。

「ぐぅ…」
それでも彼は金玉を蹴られたことで股間を押さえて内股になった。
それが男として当たり前の反応だろう。
そして再び俺を睨みつけてきた。

「おい…ふざけてんのか?もっと思い切りやれ」
班長は再び股を開き、俺に蹴りを要求した。
俺は鋭い目つきに耐えられず、今度は思い切り足を振り上げた。
もう、どうにでもなれ!!

俺の爪先は班長の敏感で弱い部分を押し潰した。

ぶにゅ
「おぉっ!!?」

やってしまった。
班長は苦痛に顔を歪めて、前に倒れこんだ。そして股間を押さえて苦痛に悶えた。

俺は慌てて班長の元に駆け寄り、謝った。
「大丈夫ですか?すみません」

足先には班長の急所の柔らかい感触が残っている。蹴ってしまった。

「はぁ、はぁ…うぐ」
班長は顔を青くして床の上で低い声で唸っていた。
青ざめたのは俺も同じだ。
俺は必死に彼を介抱して、許しをこうた。

しばらくすると、上司は上半身を起こした。
ムッチリとした両太ももの間からオレンジ色の柔らかそうな塊が見える。
そこを上司は労わって揉み始めた。

金玉が痛いのか、時折顔を苦痛で歪ませる。。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すまん」
すまん?何故謝られたのか、俺にはさっぱりだ。

「説明して欲しいです」
「なにがだ?」
俺は上司をソファに座らせ、俺も座った。
「今さっきのことです。なんで急に金玉を蹴って欲しいなんて言ったんですか」
「知りたいか」
「ええ、もちろんです」
「テメェで考えろ」

俺は薄々その理由に感づいていたが、上司の口からハッキリと理由を聞きたかった。
上司の股間を見るとオレンジ色のビキニはさっきよりも確実に大きくなっている。
「好きなんですか?」
「はぁ?」
「金玉を蹴られるのがです」
沈黙が続く。俺はこの時間が耐えられなかった。

「あの…」
「なんだ?」
「用がないなら、もう帰ってもいいですか?」
「だめだ、もう一発だ」

勘弁して欲しい。班長の金玉を蹴るなんて、後の事を考えると恐ろしくてやりたくない。

だが、断ればまた怒鳴られるだろう。

上司は立ち上がって、再び股を開いた。
俺も立ち上がって見ると、興奮でチンポが肥大化して、ビキニからはみ出しそうになっていた。
俺はその膨らみを、信じられない様な思いで見つめた。
本当に班長は金蹴りで興奮をしている。

「俺のタマキンを潰すくらいの強さで来い」

俺はもう躊躇う事も無いと思い、上司の股間目掛けて膝を打ち込んだ。
潰れてもいい、それくらい強い力を彼は望んでいるはずだ。

俺の膝の上で、班長の双球はぐにゃりと押しつぶされ変形し、男の激痛を上司に与えた。
俺も肉体労働の端くれ、班長である上司の命令には逆らえない。

「ぐぉぉぉぉぉ!!」
上司は大きなガタイを飛びあがらせ、床に落ちていく。
先程以上の力で蹴り上げた。そして、それは班長の悶絶具合からよくわかった。

金玉の激痛で苦しいのか、彼は股間を押さえ、太ももをキュッと締めながら足をバタバタと振り回した。
この世の終わりみたいな顔で大口を開けて悶絶をする。
マッチョなガタイは汗でテカっていた。

「かはっ!!くそっ!!」
苦しそうにしているけれど、班長のチンポは対象的にはち切れんばかりに大きくなっていた。
その姿は俺には理解できず、冷めた目で見るしか無い。
形だけの介抱をして、班長の悶絶がおさまるのを待った。

「うぅ、タマ。俺のキンタマ」
班長はうわ言のように繰り返し呟いた。
膨張した男根の下の双球を彼は労わるように触っている。

マッチョな上司、厳つい上司のイメージが俺の中で完全に壊れた。
彼は今、自分の意思で金玉を強打し、興奮しながら悶絶している。

彼がある程度回復してから、俺は話しかけた。もう、気を使うのも面倒になるほどに疲れた。今日は心臓に悪いことばかりだ。

「何で金玉を蹴られたいんですか」
班長は股間を押さえていた。そうとう痛むのだろう。

ビーチでやられた所為で上司はこうなったのだろうか。それを聞くと否定した。

「この体質は昔からだ」
そう言って、班長は腫れ気味の金玉を軽く揉みほぐした。
オレンジ色のパンツの中で2つの玉が揺れ動くのが見える。

「ビーチで金玉を強打した後、ガキを問い詰めたらテメェの名前が出てきた。お前なら俺の命令は断れないと思って呼び出した」
「あの、金玉狙ったこと怒ってないですよね?」
「しつけぇな、俺の命令に従ってれば許してやるよ」

結局この日はこれだけだった。詳しい話を聞こうとも、何も話してくれない。ただ、口外するなと警告だけされた。

その日は、何とも言えないモヤっとする気持ちで帰路に着いた。


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